季節のトピック インフルエンザ
予防接種の時期
季節性インフルエンザには流行性があり、一旦流行すると短期間に多くの人に蔓延します。日本では例年12月〜3月が流行シーズンです。医療関係者はインフルエンザへの暴露機会が多いため、予防接種が大切です。前年にインフルエンザへの罹患、もしくはワクチンの予防接種を受けていれば1回の接種で追加免疫による十分な予防効果が得られると考えられています。
インフルエンザワクチンは接種後2週間後頃から抗体価が上昇し、5ヶ月ほど持続します。効果発現と有効性の持続性を考えると11月頃に摂取するのが推奨されます。
卵アレルギーと予防接種
ワクチンには鶏卵が含まれているものがあります。〈インフルエンザワクチン、黄熱ワクチン、麻疹・風疹ワクチン、おたふくかぜワクチン〉
インフルエンザワクチンは鶏卵を使用していますが、現在は高度に生成されており、鶏卵成分は極めて微量と言われています。「過去に卵でアナフィラキシーを起こしたことがある。」「アレルギー検査IgEでスコアが5以上」の場合以外には、摂取できる可能性が高いため、医師に相談した上で接種するかどうか判断が必要となります。
ワクチン接種後の飲酒
飲酒により副反応が増強することはありませんが、無理のない程度の量で留めておくのが無難です。
インフルエンザワクチンを接種後の発熱、皮膚症状
局所反応として接種部位の膨張、発赤、疼痛などの反応が10〜20%程度に生じますが、数日で改善します。また、接種部位の硬結は1ヶ月程度継続することがあります。
発赤、膨張はワクチンの成分や添加物により起こりますが、皮下注射の際、皮下の深さが浅かった場合に起こりやすいと言われています。
対策として部位を冷やしたり、起こした部位を記憶しておき、次回の時に避けるなどの方法があります。
発赤、膨張、硬結いずれも自然治癒するため、原則受診したり、治療の必要はありません。
上腕全体や前腕までおよぶ高度な局所反応が出現した場合には、冷湿布、ステロイド薬、抗ヒスタミン薬などで治療を行う場合もあるので、受診をする目安としてください。
全身反応として発熱、倦怠感などの反応が5〜10%生じます。
呼吸が苦しい、痙攣を起こしている、意識が朦朧としているなど重篤な場合には受診が必要です。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチン
原料は病原体となるウイルスや細菌ですが、その病原性を無くしたものです。生ワクチンと比較して免疫がつきにくいため、ワクチンにアジュバントを追加したり、複数回接種することが必要となります。
免疫抑制剤、抗がん剤とのインフルエンザワクチン
免疫抑制剤、抗がん剤とインフルエンザワクチン
効果が弱まることがあるけど、病原性が再活性化することはない。
米国疾病対策センター(CDC)では生後6ヶ月以上のどの患者にもインフルエンザワクチンの接種を勧めています。
ただし、免疫抑制剤(プレドニゾロン、シクロスポリン、タクロリムスなど)は細胞性免疫、液性免疫(抗体産生)を抑制するため、ワクチン接種による免疫獲得が低下する場合があります。全身性エリテマドーデス、メトトレキサート服用患者、メトトレキサート・アザチオプリン使用のシェーグレン症候群の患者、高用量の吸入ステロイド使用中の喘息患者などでの使用報告によるとワクチン接種による免疫獲得があまり期待できない場合があります。しかしながら、ワクチンのウイルスが再活性化するリスクはないため、接種機会を逃さず、接種することが重要です。
Comments